モンスター

数日前のことになるが、目覚めると枕元に以下のようなメモが残してあった。「アスキーアートは欽ちゃんの仮装大賞」
言わんとするところは解らないでもないが、それをマジックで花マルつけて書き残す心理が理解できない。自分。
坂口安吾『私の探偵小説』がいい。ぶった斬りの魅力が横溢している。クリスティー・正史への手放しの賞賛をのぞけば、まあ全部悪口なのだが、世の辛口本・めった斬り本とちがって陰にこもった皮肉がない。けなし方に悪意がゼロで、これはたしかに痛快です。島田一男の『古墳殺人事件』評とか前文引用したいくらい。「ヴァン・ダインの頭の悪さを、更に借り物にして、いったいこのバケモノはなんだろう」人間扱いしてないよ。ほか、これを読ませた編集者は自分に犯罪したから罰金よこせとか言っている。
それでいて嫌味は全くない。島田もここまでくればいっそ清々しかったかと。知らないけど。ほれぼれします。
200ページない薄い本で、探偵小説に言及したのはその四分の一くらいだが、ずばっと言いのける快感に満ちている。復刊しよう角川。