草野唯雄覚書

『甦った脳髄』は早稲田、慶應の某業界の一部で人気あり。東大教授の脳汁を皮下注射したら性欲抜群の天才児が誕生したとか、そんな話ばかりの全八編。要はエログロ、チープ。基本的に読み手に不快感を与えます。「皮を剥ぐ」なぞ読んだ日には……貝の食えない体で良かった。
ところどころの文章がみょうに楽しい。
――もう一つの事実をつけ加えねばならぬ。それはわたしが異常なくらい「セックス欲望」が強い、ということだ。――
作者はまじめなだけになおさら。いいですね、この言いまわし。昭和の味がありますね。