探偵わらうな

まあさすがにこの歳で玉落としはもらいません。

晦日から年始にかけて、米澤穂信春期限定いちごタルト事件』を読んでいた。
本当に、名探偵というのも引き合わないというか、人気のない職種になったと思う。先生か政治家か名探偵か。とりあえずいちゃもんつけて怒られないベスト3。
彼らを冷やかす視点というのは、それこそホームズ登場直後からあるが、今は猫も杓子もで、個人的には食傷気味。書く方としては、それだけで一本のテーマとして成り立ってしまうし、やりやすいんだろうけど。
とはいえ本書は楽しんで読めました。いわゆる日常の謎連作で、それも北村薫が話のマクラにつかうような小ネタがメインだが、演出の手際がよい。主人公のパートナー(作中では「互恵関係」なる表現をされる)のキャラ付けも、どんでん返しというのでもないが、思わぬところに外してくる感じで面白い。文章もリズムよくさらさらと、気持ちよく読める物件です。
解説以外はな。
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)