バカひかえめ

世間というか、知人間で霞流一『羊の秘』が評判に。そこで読み残してた『ウサギの乱』に手をのばした。
作者の近年の傾向として「バカひかえめ」があるが、本作もそう。ちからわざ系のトリックこそ健在だが、駄洒落、サブカルチャーへの偏執的な言及、酔狂な連中の絡み合い―といった作者の十八番は、徐々に薄くなっている気がする。飛ばないし。
人物が薄いなあというのは今回特に感じて、マニアがひとりしか出てこないせいだろうか? 酔狂人の妄執劇を期待する身としては、ちっと物足りない。むしろトカジ的激安方面にゆるやかに漸近しつつあるかなあというそんな印象論。むしろの使い方が変。
ところで先生、干支にあわせて作品を出そうという色気はないんすかね。あとはやりの動物。アザラシとかアイボとか。最近だったら何か。東浩紀? ウサギの乱 (講談社ノベルス)