帰ってきた佐々木

ステップを目撃される。
違うんです。あれはただの屈伸運動です。


佐々木俊介『模像殺人事件』
いわゆる「帰ってきた当主物」。地方旧家に音信不通だった跡継ぎが帰ってきて、にわかに後継問題がもち上がるタイプの話である。『犬神家の一族』とか『曲った蝶番』とか。だいたい顔が包帯巻きか、自称跡継ぎがもうひとり出てくるかのパターンをとる。
本書はふたつのパターンを一遍にやっていて、なかなか豪気。怪しい旧家の雰囲気づくりもていねいで、お好きな方にはたまらないかと。
ネタはシンプルかつ大胆、この手の話に限って言えば(好みに勿論よるが)今後これ以上のものはなかなか出ないのではないか。と思った。つまりこの話が気に入りました。K君いつも有難う様。 模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)