三浦しをん「格闘する者に○」(文・長・新〔文庫版〕)
格闘する者に○ (新潮文庫)
あらすじ:就活はたいへん。やくざの跡目だとなおたいへん。恋人はフェチ老人、たいへん。
というわけで三浦しをんのミステリー適正を診断すると、
第一に冒頭の童話ないし寓話。これ自体が切味鋭利・完成度の高いショートショートなわけだが、中盤その「正体」が明かされたときには膝を打った。
本書は「就活経験者∩出版業界狙い」だった人にとっては「そうそう、あるある」度数の高い小説として評価をすでに得ているが*1、そんな読者なら尚のこと、びっくりは強いだろう。そうじゃないと私一人ばかみたい。とまれサプライズ構築能力は有とみた。
また本書で採用された擬古典調の文体も、ミステリーと相性が良い。しろうとがやると抜群に恥ずかしいものが一丁あがるけども、先生のは地に足が付いた擬古典、これはぜひ「探偵小説」を書かせてみたい、と私は思いました。
「虚無」が好きで、有栖川先生、高村薫先生の著作は全部いってるらしいから教養も○、たぶん。腐女子が萌え上がるようなヤツを自由気ままに書かせたら逆にもうすげえ面白いことになるんじゃないかと。逆って何のだ。

*1:とゆうか、素直によい小説です